ツケマお化けに恋して
ゆく年くる年
「ただいまー」

「あらっ?こんなに早く帰ってきたの?」

こんなに早くって…もうお昼過ぎてますけど?…

本当は午前中に帰ってこようと思ったけど気を遣って午後にしたんだけど?

ってか、自分の実家に帰るのに気を遣うってどういう事よ……


「……明るい時間に帰って来て申し訳ありませんねぇ…」


「まぁ仕方ないわね?帰って来ちゃったものはダメとも言えないし」


「…………」


「あっでもお母さんは今から木下さんとお茶する約束だから行ってくるわ!あっあんたも来る?」


木下さんとは母の仕事仲間で私の事も小さい頃から可愛がってくれたおばちゃんだが、よく喋るおばちゃんで一緒にいると疲れる…悪い人ではないのだが出来たらに避けたい。


「いえ…遠慮します。ごゆっくりしてきて下さい」


母は「そう?じゃー」と出かけて行った。


木下さんとなら当分帰ってこないよねぇ?

自分の部屋の掃除でもしようかな?

母は私が帰って来ることを面倒くさそうに言っているが私の部屋をそのまま残してくれている。

稔にふられた時も何も聞かずに『いつまでもお母さんと一緒でも良いじゃない』と言って朝まで一緒に飲んでくれた。

私の部屋には仕事柄本が多い。

いろんなジャンルの本が所狭しと置いてある。

ちょっと処分しようかな?

と本をパラパラと捲っていると手が止まった。

「この人……」
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