カリスマ社長に求婚されました
恋のライバルは元カノ
金曜日までの間、私はいつもと変わらず業務をこなしていた。

来客対応や、スケジュール管理、ときにはショップを視察する優一さんの同行などをして過ごした。

プライベートでは、優一さんの接待が続き、仕事以外で会うことはないまま、金曜日の打ち合わせを迎えた。

だからか、奈子さんと会うことの緊張感や不安が、拭いきれないままでいる。

こんなにも、オフで優一さんに会えないことが、自分にとって頼りないことだとは思わなかった。

しかも、一六時半からの打ち合わせ後に、奈子さんたちとディナーもすることになっている。

「最初は、打ち合わせだけの予定だったのにね……」

優一さんの車でホテルに向かう途中、私はつい愚痴をこぼしてしまった。

すると優一さんは、困ったように眉を下げて苦笑いをした。

「そうだよな。前日に、ディナーも一緒にって言いだすなんてな……。第一、広報に連絡するとか、奈子はなにを考えているんだか」

『奈子』と呼び捨てにする優一さんに、嫉妬の気持ちがジワジワわく。

元カノなのだから当然なのだけど、呼び方に距離の短さを感じたうえ、呼び慣れてる雰囲気がある。

四年前に別れたっきり……ではないのかもしれない。

「ねえ、優一さん。奈子さんとは、今でも連絡を取ったりしてるの?」

と聞くと、明らかに優一さんの顔色が変わった。
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