今、俺の腕の中でされるがままキスに応えている麗奈。

好きだと認めない理由がなんなのかわからないが、こうして応えてくれる彼女に溢れる思いをぶつけていたら…ふと、脳裏に過る階段の踊り場でのこと。

常盤が彼女に無理やりキスした時の光景だった。

嫌ならあの時のように拒絶すれば止めてあげるのに…俺の腕にしがみつき、頬を染めて潤んだ瞳でされるがままになる麗奈。

そんな彼女が愛しすぎて…俺のことしか考えられなくなればいいと願いながら…キスを深めていく。

こうしてキスしていても彼女の心の奥には嫌悪する奴がいる。

素直に好きだと言ってくれない理由は奴にあるに違いない。そう思うだけで常盤の存在が憎い。

いったい‥彼女に何をしたらあそこまで嫌われるのだろう?嫌われているとわかっていながら彼女に固執する男。

上司の俺に敵意むき出しで睨んでくるからには、何かが起こる気がしてならない。

彼女を守ると誓ってから、どう守れるのかと思案し出した答えが専務を味方につける方法だった。

彼女の住むアパートは、女が一人暮らしするような環境じゃなく、毎日、送って行くと言ってみたはいいものの…あまりにも彼女は無防備すぎる。

そんな彼女を一人住まわせておけないと思った俺は、一緒に住むことを思いついた。

そうすれば、朝、昼、夜と彼女と一緒にいれる。

そうすれば彼女をあの男から離せる。

そう思った瞬間、一緒に住む理由を考えた答えが‥結婚を前提での同棲だった。

朝、受付でいつものようにかわいい笑顔で社員に挨拶している麗奈に近寄り、専務に交際の報告をしに一緒に行くことだけ伝えた。

本来の目的を伝えなくていい。
専務を巻き込んでの話し合いをすることで、断れない状況に持っていくのが狙いなのだから…そんなことともつゆ知らず麗奈は、今日も可愛らしい笑顔で社員を出迎えている。

隣にいる野村さんのような華やかな美人じゃないが、可愛らしい女性だ。クリクリとした目と少し厚みのある唇で微笑むから若い男性社員の中には、麗奈に挨拶され頬を染めている奴もいる。

満員のエレベーターの中では、若い男性社員が野村さん派と麗奈派に別れ、今日も綺麗だとか可愛らしいとか言っている。

俺がいることに気づいていない奴なんかは、あの唇がたまらない、キスしたいと声に出していて…誰かが俺に気づき咳払いする。