旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
じゃじゃ馬令嬢の悲劇

【じゃじゃ馬令嬢の悲劇】



「お待ち下さい、お嬢様!」

もう夜の九時だというのに父の許可も得ず外出しようとする私を、執事の藤波(ふじなみ)が慌てて追いかけてくる。

「うるさいなあ、ちょっとコンビニ行くだけよ! 家出なんかしないから放っておいて!」

孫の人生を弄ぶおじいを散々なじったせいで喉が渇いた私は、愛用の斜め掛けショルダーバッグを手に早足で玄関へと向かう。

「駄目です、おひとりで夜間の外出は禁止だと散々申し上げてるじゃありませんか! おまけに浅葱の令嬢がそんな格好で外出など……少しはご自分の立場と云うものをお考えになって下さい!」

我が家の筆頭執事で私の教育係でもある藤波は実に口うるさい。もう二十年以上の付き合いになるけれど彼はいつもお説教ばかりだ。
 
< 3 / 155 >

この作品をシェア

pagetop