旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
華麗なる一族
【華麗なる一族】



颯を怒らせてしまった夜、なんとあいつは緊急の仕事を言い訳に再び会社へと戻っていってしまった。

こんな険悪な雰囲気のまま一夜を共にせずに済んだのは少しホッとしたけれど、どうも“緊急の仕事”はウソで、颯は私を避けただけではないかとも思える。

それほどでかい地雷を踏んだという自覚はあった。『充さんと結婚したかった』なんて、あいつのプライドをけちょんけちょんにする一番言ってはいけない言葉だ。

「帰ってきたらもう一回謝ろ……」

私は素直に反省をし、しおらしく自分の非を認めたというのに――ヘソを曲げた御曹司さまはなんと、それから一週間帰って来なかったのだ。



「馬鹿なの!? 子供なの!? どんだけイジけてんの!? 人を一週間も監禁しといてほったらかしておくなんて、信じらんなーーい!!」

「落ち着いてください、真奈美さま。颯さまはお仕事が立て込んでおられるのですよ。明日には戻られますから」

怒りを爆発させてソファーでジタバタする私を、専属メイドのさやかが苦笑交じりに宥める。

いくらなんでもひとりぼっちで監禁され続けてる私を可哀想に思ったのか、ここに仕えるメイドの数人は喋り相手をしてくれるようになった。中でもこのさやかは歳が近いせいか一番気があって喋りやすい。

話し相手が出来たことで私はなんとか発狂せずに監禁生活を続けられているというワケだ。 
 
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