旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
エスケイプ・ブライド!
【エスケイプ・ブライド!】


人生、明るく生きていきたい。

それが私、浅葱真奈美のシンプルかつ重大な信念だ。

自分を殺すような我慢は嫌い。そりゃ、お嬢さまと云う立場上、猫を被ってそれらしく振舞わなくちゃいけないときもあるけれど。でも、それでも私は私であることを見失いたくないし、絶対に見失ったりしない。

――つまり、何が言いたいかというと。


「……もう限界……!!」

颯と洒落にならない大喧嘩をしてから二週間。

寝室は別、会話はなし、そして相変わらずの監禁状態という最悪な状況に、私は我慢の限界を迎えていたのだ。

「無理!もー無理!無理無理無理!! こんな生活続けてたら心が腐る!」

再び外部との面接を遮断された監禁生活にもウンザリだけど、それ以上に颯との険悪な関係の毎日が私の心に致命的なダメージを与えていた。

だって分かる!? 毎日冷戦状態の人間と一緒に暮らさなくちゃいけないこのピリピリ感が! ストレス半端ないんですけど!?

今回は絶ーっ対に私からは謝らないと決めたけど、颯も颯で意地になって謝るどころかまともに口も聞きゃしない。

ここまで険悪ならいっそ別々に暮らしたほうがマシな気がするけど、それでも颯は律儀にここへ帰ってくることは辞めなかったし、晩ご飯を一緒に摂る約束だけは守り続けた。

そこは褒めてやってもいいけど、でもお互いひと言も話さないディナーは苦痛だ。まるでどちらが根負けして謝るか、勝負している気がしてくる。

相変わらずさやかたちは私を気遣って話し相手になってくれたりしたけど……それでももう、私はこの生活に限界を感じていた
 
< 88 / 155 >

この作品をシェア

pagetop