史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
1章 最低男と最悪女
「という訳で、夢見ヶ丘テラスの企画開発は霧島と佐倉に主担当を任せる。
アシスタントは森口と皆川。

それから、南口開発の方は・・・」



ーー霧島さんとコンビかぁ。


夢見ヶ丘テラスは今回のプロジェクトでは一番の花形、加えて部内一の実力者である霧島さんと組ませてもらえるという事はーー

私も課長からそれなりに評価されていると思っていいはず。


入社5年目にして、大きなチャンスを掴んだみたいだ。


思わず、顔がにやけてしまう。



ーー三木不動産株式会社。

戸建やマンションなどの一般住宅から大規模オフィスビルまで幅広く扱う業界3位の大手不動産会社だ。


私、佐倉瑠花はその三木不動産本社の都市開発部 商業施設開発課に所属している。

長くてわかりにくい部署名は不動産会社のお約束みたいなもので・・

簡潔に説明すれば、飲食店やアパレルなどの入居する商業施設の開業までを担当するのが私の仕事。

どんなお店を誘致するのか検討し、契約まで持っていく。


霧島さんとは前回のプロジェクトでも関わりがあったので、仕事のやり方は何となくわかる。


社内の評判通りやや難しい性格の人だけど、仕事ぶりは文句の付けようがない。


「よろしく、佐倉」

霧島さんはにこやかに微笑んでみせたけど、鋭い漆黒の瞳はどう見ても笑っていない。


「はい。 よろしくお願いします。霧島さん」

私も霧島さんに負けない薄っぺらい笑顔で応じる。
< 3 / 72 >

この作品をシェア

pagetop