雷鳴の中、その人はゆっくりと心優の部屋に入ってきた。
 しかも一人ではない。その後ろにも黒スーツ姿の外人、栗毛の男性がいた。

「園田さんですね」

 眼鏡の男性と初めて目が合う。

「はい、そうです。初めまして、御園大佐」

 心優から敬礼をして、一礼をする。

「初めまして、御園です。妻が迷惑をかけまして、申し訳ありませんでした」

 また誰もが知っている上官に頭を下げられてしまい、心優は当惑するしかない。

「葉月は……」

 心配そうに彼が暗がりの部屋のどこに妻がいるのかと辺りを見渡した。ベッドを見つけ、ほっとした顔をしている。

「いつから眠っていたのかな」
「ここに来た時から、目を覚まして暫くお話ししたら、また眠ってしまうことを繰り返しております。夕食は召し上がりませんでした」

「そうですか」

 眼鏡の旦那さんが、呆れたため息をついた。

 黒いスーツにドビー織りの水色のシャツ、そして揃えたのか同じくドビー織り無地の白いネクタイという、とても爽やかな出で立ちの大佐だった。

 いつも地味目で、よくいる理系の眼鏡男。と思っていた心優だが、目の前で御園大佐を見ると爽やかな品の良さがそこはかとなく漂っていて上流社会の匂いをまとっているのを感じていた。

 普通の男性に見えていたけれど、やはりこの人も御園家の男だと感じざる得なかった。だから、心優はその人を初めて目の前にして、なにも言葉を発することができなくなった。

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