『御園家』に、圧倒させられる。
 飛行場に連れてこられたと思ったら、本当に丸々一機のセスナ社ジェットが待機していた。

 タラップの階段を当たり前のように登っていく御園大佐。ジェットの気流に、歳の割には豊かな黒髪が爽やかにそよぐ。そして、怪訝そうにして眼鏡の顔が階段の中腹で振り返った。

「驚かなくていいよ。俺のじゃないから。兄貴のだから」

 お兄さんがいらっしゃったのですか。すごいお兄様ですね。と言葉にならず……。心優の後ろに控えていたエドが『離陸の時間が決まっていますので、お急ぎください』と促したので、心優も気持ちを改め階段へと踏み出す。

「狭いタイプのもので悪いね。急に準備したものだから」
「いいえ。わざわざお迎えに来てくださっただけでも、有り難いです」

 狭いタイプでも、革張りのゆったりしたシートがいくつか並んでいる。どうみてもセレブ仕様で、機内はエレガント!

「いらっしゃいませ。園田様」

 また黒いスーツ姿の金髪男性と、パイロットシャツを着ている綺麗な栗毛の女性、そして同じくパイロットシャツ姿の栗毛の男性。搭乗しているスタッフはみな日本人ではなかった。

「彼女ナタリーが、今日のフライト機長。この飛行機は彼女の会社が管理してくれている。隣の男性は、ジル。副機長。そして金髪の……」

 御園大佐がそう言おうとしたと同時に、向こうの男性から心優の前にやってきた。

「ジュールです。おみしりおきを」

 御園大佐と同世代? でもこの中にいる誰よりも気品があるように心優は感じてしまった。仕草がとても綺麗で、側に来ただけで嫌味のない紳士的ないい匂いがする。

「エドの兄貴――と言えばいいかな」

 大佐の紹介に、心優は改めて目の前にいる妙な雰囲気の御園家スタッフを見つめてしまう。
 この人達も、おそらく『事業と傭兵』の両立をしている人達なのだと。

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