それが伝え方なのです
◇瞼



トントンとリズミカルなまな板の音が部屋の中に響く。うーん、このくらいの大きさでいっか、と切ったじゃがいもを水の張ったボウルの中に入れた。


人参切ったし玉ねぎも涙流しながら切ったし、お肉は大丈夫だし…うん。あとは入れて煮込むだけだね。


ここまでの道のりを思い出し、1人満足してリビングの方に目を向けた。そこではカタカタと眼鏡をかけた静くんが真剣な表情でパソコンを叩いている。


大学生って大変なんだなぁ、と思いながらわたしはコーヒーを入れるべくお湯を沸かした。



「はい、静くん」



コト、とテーブルにコーヒーを置けば静くんは「ありがとう」とこちらを見て微笑んだ。


一応眼鏡を取ってコーヒーに口をつける静くんは目が悪いわけじゃなくて、これはブルーライト?をカットするものらしい。


つけてないと目が疲れるんだって。それほどパソコンに向かい合ってるってことだよね。静くんすごいなぁ。





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