それが伝え方なのです
◇耳、喉、手首



「うわー、すごーい!!」



外に出ると同時にふわりとした風がわたしの髪を煽った。


キラキラとした青い海に太陽の光が反射してまるで宝石のようにきらめいている。



「ねぇ、すごいね!久しぶりに来たよー!」


「テンション高いわね」


「やっちゃんかわいー」



はしゃぎすぎている自覚はあるけど今のわたしはそんなことには動じたりしないのだ!だってすっごく久しぶりだってなんだもん!



「ほーら。せめて自分の荷物ぐらいは持って行きなさいよ」


「あっ」



あんまりにも興奮しすぎて忘れてた……まさか荷物のことまで忘れてたしまうとは。


ちょっとの恥ずかしさから頰を赤らめておずおずと車の方に戻る。



「はい、どーぞ」


「あ、ありがとうございます」



お礼を言って差し出してくれたわたしの荷物を受け取ると「どういたしまして」と爽やかな笑顔が返ってきた。



「にしても海か。僕も去年ぶり」



ニコニコと笑顔を浮かべているこの人は静くんの大学の友達の沢木(さわき)さん。


この人、実は静くんのバイト先の顔見知りの店員さんだった。今日ここに来る前に紹介されてものすごくびっくりしたよ。



「えっと、沢木さんは去年来たんですか?」


「うん。サークルで1回、彼女といっしょにで2回行ったかなぁ」




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