完璧上司の秘密を知ってしまった件について
1.完璧上司の秘密を知った不幸な部下
営業部営業一課営業事務の仕事を始めて、3年目。佐伯凛は、毎日忙しく過ごしていた。

初めは、ミスばかりで先輩や同僚に迷惑をかけたこともあったが、今ではなんとか一人前に仕事が出来るようになった。

とは言え、今でも時々、初歩的なミスをする事もあるが、そこはご愛嬌。

最近は周りのみんなも、笑って許してくれる。

今日も残業で、一人で黙々と事務をこなし、午後7時、ようやく今日の業務を終え、帰るところだった。

…、一人だと思っていた凛は、課長の席に、まだ課長が座っていて、仕事をしていた事に今ごろ気づいた。

(いけない、挨拶して帰らなきゃ)

そう思った凛は、上司である須藤圭吾課長に帰りの挨拶をした。

「…須藤課長、お先に失礼します」
「…ん?あ〜、遅くまでお疲れ様」

イケメン、スタイル良し、人当たりも良い、仕事も出来る完璧上司の須藤課長。

こんな部下にも、優しい笑みを浮かべて労いの言葉を言ってくれる素敵な人。

…そんな須藤課長に、凛は少しばかり恋心を抱いていた。

でも、告白なんてする気もない。凛は、158センチ、54キロ。少しばかりぽっちゃりした女の子。自分なんて、こんなイケメンは振り向かないと、諦めている。
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