完璧上司の秘密を知ってしまった件について
5.鈍感な部下でも流石に気づく
…その夜。凛は新に連れられ、居酒屋に来ていた。

「…凛、あのさ」
「…うん?」

最初は、仕事の話や取り留めのない話をしていた2人だったが、突然真剣な面持ちで、凛の顔を見た新。

凛は何事かと、黙って新を見返した。

「…俺の事、少しは考えてくれた?」
「…え、あ…、うん」

歯切れの悪い凛を見て、新は苦笑した。

「…全然考えてなかっただろ?」
「…ごめん」

新の言葉に、凛は正直に謝る。

「…まぁ、仕方ないよな」
「…え?」

「最近急に、須藤課長とよそよそしくなったし。その上須藤課長は、最近綺麗な女性と仲良くしてるし」

「…新?」

首をかしげる凛に、新は肩をすくめた。

「何年お前の事見てきたと思ってんの?」
「…」

「…凛、凛は須藤課長の事、どう思ってんの?」
「…上司だと思う」

「それだけ?」
「…」

「もぅ、気づいてんだろ、自分の気持ち」

「…新、私」
「言うな!」

突然そう言われ、凛は口を真一文字に結んだ。

「…俺とお前は昔も今も…そして未来もずっと…友達なんだよな」

「…うん、…私は新と友達でいたい」

「泣きそうな顔すんなよな」
「…ごめん」

「さっさと告白してこい」
「…え⁈」

「上手くいったら、友達でいてやる。でも、振られたら、凛が嫌だと言っても俺の彼女にするからな」

「…新」

「…課長の事だ。どうせまだ会社だろ?ほら、行った行った…」

そう言って、新はシッシッと、手で追い払った。
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