すきだから
いやいやいや、誰もいないからって、それが逆に怖いんでしょうが!

彼氏でもない奴の家に入るって、それどんなハードモードよ!!

「無理だって!なんで千歳の家で・・・」

「なんか変な事考えてる?大丈夫、彼女でもない女には手は一切出さないから。・・・香苗ちゃんが望むならやってあげてもいいけど」

意地悪な笑みを浮かべて私を見る。

そんな、家に2人きりでなんて言われたら、誰だって少しは考えるじゃない。

「・・・勉強するだけだよね?」

「そうだよ?勉強するだけ。行こうよ。あ、カバン持つね。重いでしょ?・・・あ、あと」

「・・・なに?」

「今日、可愛いね。髪、下ろしてると凄く大人っぽく見える」

肩にかけていたカバンを私から取りながら、ためらいもなく千歳はそう答えた。
その言葉に、一気に身体の体温が上がる。

「あ、・・・ありがと」

「じゃ、行こうか。ついてきて」

そしてマンションの方向へと歩き出す。
私は赤くなった顔を手で覆いながら、千歳の後を付いていった。



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