すきだから

「・・・なにやってんの?」


聞きなれた声に、安心する。

背に光を携えて立つ千歳は、さながら漫画の中の王子様のよう。
とらわれた姫を助ける王子様、そんな感じだった。

私がヒロインの柄じゃないって事は分かってる。
だけど、千歳が助けに来てくれた事、それが凄く嬉しかった。

千歳を見た時の私は、待ってました王子様!と言わんばかりな満面の笑みで、彼を見つめていただろう。





・・・ああ、私、千歳の事が好きなんだ。

近くにいてほしいのも、触れてほしいと思うのも、今は千歳だけなんだ。

いつの間にか、私は千歳に恋してた。




目の前の千歳を見て、私はそう自覚した。


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