純白Yの軌跡
【序章】日本の陰と少年の笑顔
「ピーポーピーポー、高齢女性、一週間前から腰痛、動けない。。。」

なんで今なの?

Yはそそくさと救急車に乗り、先輩に連れられるように女性の家に向かう。
今日がYにとって初出場だ。

向かっている途中、通報番号に電話をかけてみる。

「お客様の都合によりお繋ぎすることができません。ツー、ツー。。。」

なぜ繋がらない?
119番してきたのにウェルカムではないなとYは思った。

呼ばれて行くのが仕事。それ以上でもそれ以下でもない。
Yはいつものように消極的だった。

現場に到着
Yは驚いた。

元は白い巨塔であったのだろう、まるで塗り壁の様にそびえ立つ団地群
見渡すだけで50棟はあるだろうか。
今や見る陰もなく外壁は黒ずみ、まるでお化け屋敷だ。

団地の一角、それが高齢女性の建物
団地は5階建てでエレベーターはない。
先輩いわく「このての団地は5階建てが多い。5階建て以下はエレベーターの設置義務がなく、共営費を節約できるからだ。」

「このての」の意味は新人のYにはよく分からなかった。ただ緊張していた。

玄関前に到着
玄関は鉄製のドアに丸いノブ、鍵穴は一つ。
ドアも白に塗られていたであろうが、これでもかというくらい錆びている。

隊長が「初出場だ。玄関はYが開けろ。記念すべき救急人生の始まりだ。」と言った。

Yは言われるがままドアノブに手をかけ、ゆっくりと玄関を開けた。
この時本人は気がついていないだろうが、Yは笑顔だった。

そのドアの向こうに日本の陰、社会の縮図が待ち受けているとは知らずに。。。
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