知らない貴方と、蜜月旅行
*なにがどうなって、そうなってしまったの?
「あの…大体は、そんな感じです…」
「……」


出会ったばかりの男に、こんなペラペラ喋っちゃったけど、話し始めたら止まらなくなってしまった。


「あの……」


なにも喋らず黙っていた彼は、スッと立ち上がった。やっぱり話すべきではなかったのでは…。と、俯いた時。


ボスン、と音がしてテーブルの上を見ると箱ティッシュが投げられたのだと分かった。


「…悪かったな」
「え?」


彼は立ったまま、私と目を合わせないように顔を横に向けたまま謝ってきた。驚いて、彼をジッと見つめると今度は、頭をグシャグシャっとして、乱暴に私の目の前に胡座をかいた。


「とりあえず、拭け」
「……はい」


〝拭け〟と言うのは、涙のこと。亮太の話をしている最中、堪えきれず泣いてしまったから。


今は、だいぶ落ち着いたんだけど、多分化粧が取れて化け猫みたいになっているのだと思う。


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