桜の木の下に【完】

柊家


幻獣。

それは、森羅万象を司る万物の類い。

あるものは雨を降らせ、あるものは虫を喰らう。

それらは人間が誕生するずっと前から存在し、人間もそれらによって造り出されたのだと言う人さえいた。実際は定かではない。

しかし、人間が自然を破壊し侵略し始めると、いつしか幻獣は歴史から消えた。古い言い伝えや昔話など、人伝で広まっていたのも途絶えた。さらに、幻獣を見ることのできる人間もどんどんと減っていった。

幻獣は天災や自然そのもの。すなわち、制御不可能だということ。

制御できない。それなら、管理することはできないのだろうか?

人間はその結論に達し、幻獣を人間と契約させることで監視下に置いた。契約することで悪さをさせないようにしたのだ。悪さをした場合にはその動きを封じ、痛みを与えられる仕組みになっている。

それでは幻獣の利益が無いではないかと思うかもしれないが、人間は何でも提供することができる。

虫を喰らうのであれば虫を、花を喰らうのであれば花を与えることができるのだ。

そういう関係を築いて五百年余り。

その関係は危うくなりつつあるのかもしれない………
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