キミに想いが届くまで。
縮まる距離感
朝、いつも通り早く登校する。
大きなゴミを拾ったり、花瓶の水を変えたりしていると、少しずつ他のクラスメイトも登校してくる。
私は自分の席に座って、読書を始める。
「おはよう、莉子」
だけど、私に向かって挨拶をしてくれる声が耳に届き、素早く本を閉じて顔を上げる。
この学校で私を名前で呼んでくれる人は、今は1人しかいない。
「絵梨ちゃん、おはよう」
挨拶を返すと、ニコッと微笑んで私の前の席を引いて座る。
人見知りだったけど、昨日あんなことがあって助けてくれた絵梨ちゃんには、全く人見知りを発揮することがない。
もしかしたら、三浦くんたちと話していて少しは会話をすることに慣れたということもあるのかもしれない。