それから、不思議なことに毎朝のティータイムが習慣になっていた。


毎朝30分ほどだけど、仕事前にお茶と軽いお菓子をいただく。最初は無表情で無口だった茶堂課長も、慣れてみれば案外表情が変わると解ってきた。


そして、彼が6つ上の30歳ということ。親は地元で雑貨店を営んでいること、店で扱う商品にきっかけでこの会社に入ったこと。兄が一人いて密かにコンプレックスがあること……なんかも知れた。


そして。


「おう、こりゃキャラメルみたいでサクサクして美味いな。シナモンの風味がアップルティーによく合う」

「フロランタンってお菓子ですよ」

私が焼いてきたお菓子を頬張る時、ちょっとだけ子どもみたいな笑顔になる。甘いものが大好きな彼は、この一瞬だけ無防備で。いつもの厳しく冷たい上司という仮面を外す。


日常は変わらないけど、こんなふうに違う一面を見せてくれる彼も、私と変わらない一人の人間と解って。間近に感じた彼になるべく迷惑を掛けないようにするため、ビジネス本を買って読んだりと少しずつ努力を始めた。

ときめく気持ちを悟られないように努めながら。