あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】

恋の行方と過去と未来

 小林さんへのメールを打ち終わると気が緩んだのか息が漏れる。気持ちが揺れる今、小林さんに会いたかった。中垣先輩に代わってフランス留学に行くという選択が合っているのか間違っているのか分からない。でも、行かなかったから私はきっと後悔する。


 その反面、私の思いを聞いた小林さんの反応が怖い。信じるとか信じないとかではなく、客観的に考えてみれば私と小林さんは付き合いだしたばかりで、二年も離れるとなると恋愛としては壊滅的。もし仮に遠距離恋愛を頑張ろうと思っても、二年という年月が続くかも分からない。それが分かっているから中垣先輩も自分が行くと言ってくれたのだろう。


 私は小林さんの傍を離れたくないと思いながらも私は違う決断をしようとしていた。


 小林さんからのメールに返信があったのは、私がメールを送ってから一時間くらい過ぎた頃だった。


『今日は少し忙しいから遅くなるよ。それでもいい?仕事が終わったらメールする』


 携帯の画面に映った小林さんの優しい言葉に胸がキュッと痛くなる。画面を見ながら心に浮かぶのは小林さんの優しい微笑みで、目蓋の裏に浮かぶのは大好きな微笑みなのに苦しい。


『今から行ってもいい?』


 小林さんからのメールは夜の11時を過ぎたくらいの頃のことだった。
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