アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜
 自分が遥人と結ばれないのは仕方がない。

 だが、遥人がなにをするつもりなのか知らないが、このままにしていいのか。

 専務。
 貴方の望むことを望む通りにすれば、貴方は眠れるようになるとでも言うんですかっ。

 そう思ったとき、携帯が鳴った。

『※※※※』
と表示がなっていて、名前がない。

 洋人だ。

「はいっ」
と慌てて出る。

『那智、仕事中?
 だよね。

 でも、もしかして、急を要するかなーと思ってかけてみたんだけど。

 辰巳遥人は、たぶん、人を殺すつもりだよ』

 どうする? 那智、止めてみる? とどっちでも良さそうに言う。

「桜田さんは……桜田さんは、なんで此処に居たの?」

『それと、遥人のことは関係ないよ。
 あと、川村梨花のことは、趣味だろ、単に。

 でも、例え、別件だとしても、彼らが近くに居るってことは、遥人がなにかしでかした瞬間に捕まるってことだよ』

 那智は拳を握り締める。
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