御曹司と溺甘ルームシェア
7、俺の独占欲 ー 響人side
「せっかくの楽しい時間をお前は邪魔する気か?」

じいさんが憮然とした表情で俺を見る。

全く、このじいさんは悪びれた様子を少しも見せない。

この人のに比べれば寧々の我が儘など可愛いものだ。

部内のミーティング中に彼女から電話がかかってきた時は、じんましんで苦しんでいるのかと思って焦った。

だが、電話に出れば会長の徘徊を知らせる連絡。思わず『あのじじい』と小声で罵った。

『こっちは大丈夫だから、行ってきていいよ』

安心させるように笑う岡田にミーティングの進行を任せ急いで寧々の言う場所に向かえば、じいさんはご機嫌でベンチに腰掛け寧々に話しかけていた。

どこかのパーティーで寧々に会った事でもあるのか、じいさんの表情は実ににこやかだ。

身内でもこんなじいさんはなかなか見れない。

『邪魔』って……業務時間中だぞ。会長が来客をほったらかしにして、こんなところでのんびりココアを飲んでる場合じゃないだろう。
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