強引同期が甘く豹変しました


何で寂しかったのかはわからない。

別に深い意味は、ないと思う。


それでも、同じ会社だから毎日顔は合わせるし。
お隣同士だから他部署よりも接する機会が多いし。

みんなで一緒にランチに行くこともあれば、同期会で飲みに行くこともあったし。


だから、存在はいつも近くて。
いつだって矢沢はわりとそばにはいて。

同期として、長年過ごしてきた。


本当にただの同期同士。言いたいことを気を使わずに言える、そんな関係だった。


なのに。何でだろう。
どうしてなんだろう。

矢沢が誰といようが、今どこで何していようが私には関係ないのに。

何でなんだろう。

どうしてこんなに、あいつのことばっか考えてしまってるんだろう。

っていうか。何で?


「何で…帰ってこないの」


シーンとした空間に、私の声だけが悲しく響いた。


< 152 / 202 >

この作品をシェア

pagetop