溺愛伯爵さまが離してくれません!

危機一髪

「・・・・え?」

思いもよらない言葉に、グレイスは困惑した表情を浮かべていました。
勿論私も同様に困惑しておりましたが、それ以上に安心してしまい、身体中から力が抜けてしまいそうになりました。

・・・助かった。
こんな最低な人間と結婚しなくても済むのね。

でも、どうして・・・?
どうしていきなり・・・?

そう思うのはグレイスも同様で、父に対し少し攻撃的な口調で話します。

「どういう事だ?サイダル殿。あれほど頭を下げて乞うてきた見合いをなぜ、今更無かったことになどど。人をバカにしているのか!?」

「・・・すまないグレイス殿。何を言われても仕方がない。だが、これ以上話を続けると私の家が大変なことになってしまう。この件の謝罪は後程、悪いがもう失礼させて頂くよ」

「サイダル殿!!」

「行くぞ、リーナ」

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