強引上司と過保護な社内恋愛!?
8. 兄さんブタとの遭遇
寝返りを打ち、ふと目が覚める。

窓からは明るい陽射しが降り注いでいた。

もう、朝か。

ごろりと仰向けにると見慣れない高い天井と柔らかなオフホワイトの壁紙が視界に映る。

…しまった。

ふかふかしたダブルベッドの上にのろのろ上半身を起こす。

辺りを見渡すと、私の部屋が二つ分ほどの広い寝室だった。

また、一夜を共に過ごしてしまったか。

「まいったなぁ」

なんて言ってみるものの、今回も間違いを起こした形跡はない。

着の身着のまま寝てしまったので、お気に入りのフレアスカートも皺クチャだ。

しかしながら、家主である桧山さんの姿が見当たらない。

もう起きてるのかな。

私はゴソゴソとベッドから抜け出して、寝室を後にする。

リビングにも、その隣のダイニングにも桧山さんの姿はない。

ソファーのうえには昨晩着ていたグレーのパーカーが抜け殻のように丸まっておいてあった。

買い物でもいっているのだろうか。

喉が渇いたのでキッチンへ行き棚からコップを取り出し、冷蔵庫を開ける。

冷えたミネラルウォーターをコップに注ぐと一気に飲み干した。

ふう、と肩で大きく息を吐く。
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