強引上司と過保護な社内恋愛!?
10. 考えるトラ
ピンと背筋を伸ばしまっすぐ前を向いている彼女に思わず視線を奪われた。

「緊張してないの?余裕だね」

俺が声を掛けると彼女はゆっくりこちらに振り向く。

「そう見えますか?」

シャープな顎のラインに意思の強そうな大きな瞳が印象的だった。

「うん、みんなガッチガチに緊張してるのに、一人婆さんみたいに落ち着き払ってるじゃん」

形の整った赤い唇が微かに動き、婆さん…と小声で呟く。

眉根を寄せて、ちょっと不服そうだ。


今日は新卒採用の二次面接試験があり、久しぶりに本社を訪れた。

とは言っても、入社2年目の俺が面接官に大抜擢されるはずもなく、リクルーター、所謂お世話係としてここにいる。

面接の順番が来るまで学生たちに話しかけて緊張を和らげたり、面接官には聞けない事も気軽に質問出来るよう歳の近い若手社員が持ち回りで担当する事になっている。

面接会場となる会議室の前に置かれたパイプ椅子に座り、緊張の面持ちで順番を待ちをする学生たちに適当に声を掛ける。

そんな中、この女学生だけは凉しい顔をしていたので興味を持った。

…しかもタイプだし。
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