春の夜

銀髪の彼




次の日、完全に回復した私はお礼を言うため、ハルトさんの部屋の前に来ていた。

治ったなら出ていけと言われてしまうだろうか
若干の不安はあるが、面倒を見てもらってお礼を言わないほど非常識ではない。
追い出されてしまったら野宿しながら職を探そうと決意し、ドアをノックする。


コンコン――――

『誰だ』

「夢花です、面倒をみていただいたお礼を言いに来ました。」

そう伝えると、ドアが開いた。
ハルトさんは仕事中だったみたいで、机の上には山積みの書類。

ドアを開けてくれたのは、白い髪の男の人。
誰だろう?執事さん、とかかな?


『彼はユキ。俺の幼なじみで、側近だ。』

私の視線に気がついたハルトさんが紹介してくれる。


『はじめまして、ユキです。よろしくね。』

ニコッと微笑んでくれるユキさん。
キリッとした目のハルトさんとは対照的に、タレ目のユキさん。
ふわふわの白い髪と、泣きぼくろのせいか色気がムンムンだ。

「よろしく、お願いします。」

私もそう返して、小さくお辞儀する。




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