③愛しのマイ・フェア・レディ~一夜限りの恋人~
「…ホラね、やっぱり聞こえるでしょ?声」
「原口くん、いいじゃないか。それより早いとこ終わらせないと、私は専務に怒られる」

 三鷹社長は、さっきから役員会の中断を気にしている。


「そんなこと言って…ヒトシ君、ひょっとして私以外の子を隠してるんじゃないの?」

「そんなこと、あるわけがないだろう」

「嘘よ、嘘だわ!……なら証明して。
 あの扉___

開けてみせて?」


「………」

 社長は、フーっと長い溜め息を吐くと、諦めたように彼女から身体を離した。 


「解ったよ」
 
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