第二秘書は恋に盲目
6.専門外に挑む医者
私がここに来てることは誰にも言わないで。

朝、あやめちゃんにそう口止めされてからもう何時間が経っただろうか。
俺はもうそろそろ家に帰るし、このまま八田に面倒を見させる訳にもいかない。

ということで、千歳に電話を掛けてさっさと連れて帰らせることにした。

『なんですか?
今すっごく忙しくて』

聞こえてきたそんな言葉に、思わずこっちの方が大変だと返しそうになった。

「急いで病院に来い。

あやめちゃんが朝からうちの病院に遊びに来て居座ってる。いい加減邪魔だ。
今すぐ迎えに来い。
…聞いてるのか?」

何も音がしない。
かろうじて電話は繋がっているようだが…。

「おい」

ツー、ツー。

…切りやがった。何のつもりだ。

まぁ、いい。
取り敢えずこっちの用件は伝えたんだし、まさか千歳の立場で来ないということは無いだろう。

俺はあやめちゃんのもとへ向かった。
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