第二秘書は恋に盲目
8.敵を作りやすい医者
全部が全部、嘘ってことでもねーんだけどな。

そんなことを思いながら、あれから立ち寄ったのは近くの居酒屋。

ついさっき俺に迷惑をかけないようにすると宣言した千歳は、次々にアルコールを飲み、カウンター席でたち悪く愚痴っていた。

「いいんですよ、仕事に関して色々言われるのは。私が働きたくて働いてるんですから。

だけど、どうして恋愛に結びつけるかなー?仕事と恋愛の両立が難しいのはわかってますけど、だからって、早く仕事やめていい人見つけなさいとか、結婚するつもりないんですよねとか、そんなふうに決めつけられると腹が立つんです!」

「あー、そうだな」

心のこもってない適当な相槌でも、全く気にしていない様子。聞いてほしいというよりも、自分が喋ってストレスを発散したいんだろう。
そんな役に使われていることにイラつかない訳ではないが、ここは黙って聞いてやるとしよう。
< 197 / 334 >

この作品をシェア

pagetop