フラワーガーデンへようこそ〜優しい愛をあなたに〜
2月 ヒデンス(花言葉:調和)
今は2月。真冬の今、気温はマイナス。外はチラチラと雪が舞っていた。

ここは、『フラワーガーデン』という名の花屋。街中だと言うのに大きな庭園があり、その奥に洋風な佇まいの家があり、その一階は、色とりどりの花が置かれている。

ここの経営者は、西薗 薫(にしぞのかおる)26歳。女のような名前だが、れっきとした男だ。

その容姿も、誰もが認める美男子だ。イタリア人の母と、日本人の父を持つ薫。父は外交官で裕福な家庭で、16歳までイタリアに住んでいたが、それ以降はずっと日本に住んでいる。

今は、両親はまた、イタリアに住んで、薫は一人でこの大きな庭園のあるこの屋敷に、花屋を営みながら、静かに暮らしていた。

(…ぁ、また来てる)

薫は、昨年の2月から、毎月1日に花を買いに来る綺麗な女性が気になっていた。

「…いらっしゃいませ。今日はどのようなお花をお求めですか?」

「…そうですねぇ。この可愛いお花はなんですか?」

そう言って、一つの花を指差した。

「あぁ、それは『ヒデンス』という花ですよ。ウィンターコスモスの名で親しまれていて、花が少ない晩秋にも楽しめる貴重な花なんです。ここにある黄色が有名ですが、白い花びらに斑点の入ったものもあるんです」

薫の説明に耳を傾け、ヒデンスを目で楽しんでいる。彼女はいつもそうだ。花を手に取り、毎回花の説明を聞く。それは親身になって。
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