ドラマ好きの何が悪い
13章 ドラマ好き少しずつ見えてくる
あの日以来、カイトが私の家を訪ねてくることはなくなった。

まぁ、そりゃそうだよね。

私は今カイトの親友と付き合っていて、カイトは私のかわいい後輩と付き合ってる。

それなのに、私の家に上がり込むなんて、どう考えても非常識だもん。

だけど、あれだけ毎週来ていた人間が来なくなると、それまでどうでもよかったはずなのになんとなく寂しいような気もしていた。

この気持ちは誰にも言えるはずもなかったけど。


「ねぇねぇ。ちょっと相談があるんだけど。」

しばらく経ったある日、ハルカが急に連絡をしてきた。

そういえば、あれから随分ハルカとは話してなかった。

カイトとどうなってるかも、全くわからない。

便りのないのはいい便りっていうことだと思って放っておいたんだけど、放っときすぎだったかな。

「うんいいよ。」

すぐに返事をして、翌日の夜、久しぶりに落ち合うことになった。

相談て何だろ。

カイトとのことかな?

あまり深く考えてなかったけど、ハルカの相談は意外なものだった。

「松永さんて覚えてる?」

「松永・・・?ああ、前に上司に紹介されてアプローチされてたとか言ってた営業マン?カレー食べてる時偶然居合わせた彼?」

「そうそう、よく覚えてるじゃん。」

「で、その松永さんがどうかした?」

「結局、あれからもちょくちょく連絡があってね。ずっと断ってるんだけど、どうしても話したいことがあるって。一度だけでいいから会ってほしいって言われたの。」

「へー。松永さんて、ハルカにすごいお熱の入れようだね。だけど、今はカイトと付き合ってるんだったらきちんと話してあきらめてもらったら?」

「ん・・・まだ立花さんとは、きちんとお付き合いしてるってわけじゃないから。」

「え?付き合ってるんじゃないの?」

「だって、立花さんからは『付き合おう』とかきちんと告白されてないもの。」

あいつー。真剣に考えてみようなんて言ってたくせに、またうやむやにしようって魂胆か?

「大人の付き合いだしさ、いちいち『好きです。付き合いましょう』なんてこっぱずかしいセリフ言わないんじゃない?現にデートも何回もしてるんでしょ?」

「ま、そうだけどさ。だけど、まだキスすらしてない。」

え?そうだったの?

私とシュンキがデートし始めたのと同じ時期からスタートしてるとしたら、ちょいと遅くない?

私だって、その、キス以上の関係に行ったわけだし。女好きのカイトがそこまでもったいぶるかな。






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