ドラマ好きの何が悪い
3章 イケメン研究職男とドラマ好き
そして、また週末が来た。

熱々のコーヒーを入れて、テレビの前のソファーに座る。

今月から始まった『恋わずらい』っていうドラマ、久々にはまってるのよね。

アラサー女子がヒロインで、うまくいきそうでいかない恋の行方。

私の理想とする、出会いとじれじれな恋模様がたまらないの。

共感共感、超共感って感じ!

毎回、胸がキュンキュン躍った。

ヒロインの相手役がまた今流行のイケメン俳優で、眼鏡の奥の、少し寂しげな目がセクシーなのよねぇ。

前回は、ヒロインとイケメンが自分の思いをつたえようか伝えまいかじれじれしていたら、いきなりイケメンがヒロインを抱きしめたところで終わったのよね。

あー、どうなるのか楽しみだわ。

ウキウキしながら、再生ボタンを押した。


ピンポーン ピンポーン


一時停止ボタンを押す。

どうして、こういつもいつも、いいところでやってくるのかしらね。奴は。

「本と、朝っぱらからいい加減にしてよね!」

私はそういいながら玄関のドアを開けた。

「あ、朝早くからすみません。」

朝日が逆光になってて、その声の主の顔がはっきりわからない。

とりあえず、カイトではないその声に、一瞬緊張が走る。

目を細めて焦点をゆっくり合わした。

サラサラの前髪を掻き上げて会釈をするその長身の男性は、眼鏡をかけていて、その目は少し寂しげで・・・

『恋わずらい』のイケメンさながらの出で立ちだった。

嘘でしょ?

誰?この人は?!
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