鬼常務の獲物は私!?



幸せいっぱいでパンケーキを頬張る私に、隣に座る最年長の玉置さんが笑顔を向ける。


「日菜ちゃんは本当に美味しそうに食べるよね」


玉置さんはまだ、自分のガトーショコラに手をつけていない。

そのケーキを大きめのひと口サイズにカットして、フォークに刺して私に向けてくるから、つい、パクリと食いついてしまった。

チョコレートの味も久しぶりで、美味しすぎる……。


ここ最近、甘い物を我慢していたのは、10日ほど前の神永常務との会話が原因だった。

それは、なんとか交際をスタートさせた日の翌日のこと。

お昼休みに常務室に呼ばれた私は、出前に取ってくれた鰻重を、いつものソファーに座って一緒に食べていた。

その時、こんなことを常務に言われた。


『念のために聞くが、お前に関して俺は、もうなにも勘違いしていないよな?』


突然振られた質問に、思わず箸を止めた私。

そんなことを聞くということは、よほど太郎くんが猫だったと知ったことが、衝撃だったのだろう。

「うーん」と首を傾げて考えて、『他にはないと思います。多分』と答えたら、常務の眉間にシワが寄った。

『本当だな……?』と、まるでなにか隠しているだろうと言いたげな返しをされてしまい、私はもう一度心当たりを探ってみた。


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