君と秘密のラブレッスン
Lesson 0


私立結ノ宮学園高等部。

名門大学に毎年多くの合格者を出している、全国屈指の全寮制の進学校だ。

学年末テストでAクラスから完全成績順に割り振られるクラスは、1学年6クラス。


広大な敷地には高等部と中等部の校舎や体育館のほかに、男子寮、女子寮、食堂と部活棟が並び、グラウンドにはテニスコートや室内プールが隣接している。

部活もそれなりに盛んではあるが、基本は勉学中心。

部活は活動時間がきっちり制限されていて、入部は強制ではないから、所属しない生徒も多い。


────私、桜木亜深(さくらぎ つぐみ)もその一人。

高等部からの、いわゆる『編入組』である私は、勉強についていくのが精一杯。

部活に割くような気力も体力もなかった。

中学の頃はソフトボールをやっていたから、できれば続けるか、せめてマネージャーでもいいからやりたかったけれど、入学して早々に諦めた。


公立の中学にいたころは勉強は得意な方で、授業を聞いていればそれなりに理解できた。

テスト前に切羽詰まって徹夜するようなことはなかったし、むしろ勉強は好きだった。

だからこそ、この高校に入れたんだけど。

< 1 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop