俺様黒王子とニセ恋!?契約
思い出に泥を塗りました
高校時代の私は、今とそう変わらない、地味~な生徒だった。


周りのクラスメイトは、中学のとは格段に違う可愛い制服を更に可愛くコーディネートしたりして、オシャレを楽しんでいたけれど。
私は指定のブレザーとチェックのミニスカートを少し着崩すだけ。
抜き打ちの服装検査も全く焦ることのない……平凡かつ面白みのない女子高生だった。


そんな私が篤樹と出会った……いや、私が一方的に篤樹を知ったのは、高校に入学して一週間が経った時。
新入生歓迎会が行われた後に向かった弓道場だった。


歓迎会の中で部活紹介もあった。
これと言って興味のある部活はなく、無理して何か入らなくてもいいかな、と思っていた。
そんな私に、出席番号が近くて仲良くなったクラスメイトが、コソッと教えてくれたのだ。


『ね、帰りに弓道部見に行かない? こういう場では出し惜しみして絶対顔出しさせない真打ちがいるって噂なんだよ』


それがどういう意味なのか。
武道だけに実力面でのことかと思った私は、それほど興味は惹かれなかったけれど、友達付き合いだと割り切って放課後の弓道場に足を向けた。


まず驚いたのは、ギャラリーの大半が同じ新入生らしい女子生徒だったことだ。
肝心の部活風景など、人垣が邪魔して全然見えない。
< 14 / 182 >

この作品をシェア

pagetop