俺様黒王子とニセ恋!?契約
矛盾してることはわかってます
篤樹がプレゼンしたカクテルのプロモーションイベントは、営業企画部一のホープである金子さんが担当することになった。


金子さんはヒット商品のリリースイベントをいくつも手掛けた実績のある人。
年齢的にも篤樹の一つ年上と近くて、中途入社の篤樹を上手くサポートしてくれろだろう……と、抜擢した課長は言っていたけれど。


「だからな、首都圏先行発売の一ヵ月前じゃ有名オフィスビルのイベントホールなんか使わせてもらえっこないだろうが。何の時期かわかんないのか? クリスマスだよ、クリスマス」

「わかってますよ、そのくらい」

「何もデカいイベントホールじゃなくても、サンプル配布や試飲会って形で、クリスマスイベントにかこつけてやらせてもらってもいいだろ」

「金子さんは、自社製品を売る気ないんですか。そんな気の抜けたビールみたいなイベントじゃ、やらない方がずっとマシです」

「だったらな、片桐。場所・日時・規模。どれか一つでも妥協してみろ」

「無理ですね。譲れません」


――と。
担当者だけが集うプロジェクト会議は、いつも平行線だ。


私は金子さんのアシスタントとして、このプロジェクトのメンバーに招集されたのだけど、実は裏から篤樹が指名して来たことは聞いている。


篤樹も何度か顔を合わせるうちに金子さんとはウマが合わないだろうと読んでいたのか。
抗議した私にあっさりと『潤滑剤になってくれ』なあんて言ってのけたのだ。


そして、今日が二度目になるこの会議も、篤樹がシレッと妥協を却下した後は、だんまりが続いている。
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