甘々王子と黒王子

ガラス玉

今日の休み時間には

会って事務連絡みたいなのはしたけど、

純粋に

先輩はどうなんだろうってことも知りたかった。

文化祭の準備とかね。

だから

放課後、

私は二年生の昇降口前に来ております。

「あ!先輩」

「恵ちゃん
どうしたの?」

どうしたの?とは

いきなりどうしたの?

という意味だろうな。

「せ、先輩に会いたかったので……」

これが一番近いかな、うん。

「……」

あれ?

私変なこと言った?

「先輩?」

「あ、いや……
恵ちゃん、ありがとう」

ふぇッ!?

「そんな……
わ、私が来たくて来ただけなので」

まさかお礼を言われるとは……

「僕のもお礼を言いたかったから言っただけだよ」

ならばお言葉に甘えてしまいましょう。

「あの、先輩。
先輩のクラスって文化祭何やるんですか?」

「和風カフェって言ってた」

ふむふむ

和風カフェですか。

「えっと先輩は何するんですか?」

「僕は裏方」

え?

「裏方の方が抜け出しやすいから」

つまり私のため?

あ〜

やばい

ついつい口角が上がる。

「だからあとは涼が代わってくれれば見に行けるよ」

私のワガママをそこまで聞いてもらえるなんて……

嬉しい……












でも……

この時の私は

先輩に劇を見てもらうことが

大きな間違いだったなんて

気付きもしなかった。





綺麗な球のガラス玉

だけど、

それがガラスだなんてこと

頭には無くて。

そして私のやった事が

ガラスを傷つけ、割ってしまうものだなんてことも

全く知らなかったんだ。




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