めぐり逢えたのに
新生活、佐々倉の事情
無事に結婚式が終わると、いよいよ私たちの奇妙な新婚生活が始まった。

佐々倉と私の新居はマンションの同じ階の隣同士で、玄関の先にあるドアでお互いの家に行き来できるようになっている。(双方に鍵を取り付けた)佐々倉の方が、こじんまりと小さめの2LDKで、私の方は彼のところよりも3倍近くある、ゆったりとした造りになっている。

私たちは散々悩んだのだが、結局、彼女と住みたい佐々倉は、自宅に来客を呼べないので、私が広い方を取る事にしたのだ。

よくこんな家を見つけてきたな、と感心するとともに、佐々倉が、こういう二件の所帯を欲しがったことはご両親(彼らが私たちのマンションを買うか借りるかしているはずなのだ)は何とも思ってないのか、気になっていた。

佐々倉は私に口出しさせず、私も佐々倉に任せていたので、細かいことはどうなっているか関知していなかった。



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