雅さんの言葉を聞きながら、自分の中で納得できることもあった。私一人だったらまだ歩き出すことさえ出来てなかったのかもしれない。きっと、この部屋で自分のベッドにも寝ることさえ出来ずにいるような気がする。


「私。前の彼が友達と結婚すると聞いて頭の中が真っ白になり、本当に辛かったです。でも、篠崎さんに出会い、高取さんと雅さんにも出会って、本当に良かったと思います。人生悪い事ばかりじゃないと思いました」


「話を聞く限り、里桜ちゃんに悪い所ってないんだもの」


「そうでしょうか?」


「ええ。里桜ちゃんは仕事が忙しくてって言っていたけど、そういう忙しいながらでも心を通わせている人なんていっぱいいるわよ」


 雅さんはそういって綺麗な微笑みを浮かべて、私を見つめた。


「終わったら美味しいもの食べに行こう。夜遅くなっても美味しい食事を出してくれる店があるの。絶対におススメだから行かない?」


 雅さんに言われて、食事もせずに引っ越しを頑張っていたのを思い出す。私はともかく雅さんに申し訳ない。本当なら私の方から言わないといけない言葉だった。


「ありがとうございます。楽しみです」


 私がそういうと、雅さんはとっても綺麗な笑顔を私にくれたのだった。