私はそのメールが来るのをいつしか楽しみになっており、寝れる準備を終わらせてからメールを待つようになっていた。撮影の合間に打っている時もあれば、ホテルの部屋に戻ってからの時もある。ホテルに戻ってからの時はいきなり電話が掛かってくることもあって、一瞬甘いバリトンの声でドキッとはするけど、すぐに心の奥底が温かくなる。


『里桜』


 そう呼ばれる度に明日も頑張ろうと思えるようになっていた。


 そして、海斗さんが帰ってくるのは明日に迫っていた。その日は私も仕事で遅くなって、海斗さんの『定期便』メールの時間にマンションに戻ることが出来なかった。携帯を片手に急いで帰り、マンションのリビングに入った瞬間に携帯が震えた。


 時間は十一時。いつもの定期便の時間から一時間も遅れていて、そのメールを見た瞬間に海斗さんの遅れたわけが分かった。


『里桜。明日帰るつもりだったけどロケが長引くことになった。京都の撮影が順調に進んだから、脚本が一部変更になった。今日の感じではしばらくは京都での撮影が続くことになると思う。今からまた、打ち合わせになるから、今日はもうメール出来そうもない。残念だけど、これも仕事だからと思って頑張ってくる』