彼女のことは俺が守る【完全版】
 ぎゅるぎゅるぎゅー


 篠崎海は何か言おうとした時にリビングに響いたのは私のお腹の音だった。まさかこのタイミングでお腹が鳴るとは思わずに私は恥ずかしくて顔が熱くなってしまう。ふと見上げると篠崎海は顔を歪めていた。


「いつから食べてない」


「昨日の朝。食欲なくて」


「まあ、仕方ないと思うけど、食べないと元気になれないよ。それにしても…なんかあったかな」


 篠崎海はゆっくりと立ち上がるとキッチンの方に行き、冷蔵庫を覗いた。そして、大きな溜め息を漏らした。その様子から見て何も入ってないのだろう。でも、安心したからってこのタイミングでお腹が鳴らなくてもいいのに…。自分の身体のタイミングの悪さにガッカリする。


「撮影で長期ロケに行くから冷蔵庫の中を整理したばかりだから大したものは出来ないけどいいか?」


 篠崎海の言葉に私は驚いた。まさか、これから何かを作ってくれるつもりなのだろうか?真夜中なだけでなく篠崎海は数時間前まで仕事をしていて、今もまだスーツのまま。着替えもしてなければ、コーヒーすら飲んでない。それなのに、冷蔵庫から何かを取り出している。


「申し訳ないです。後からコンビニにでも行きます」


「そんなこと気にしないでいいよ。それに俺は簡単なものしか出来ない。パスタとかどう?それなら今の残っている材料でどうにかなるよ」

< 46 / 188 >

この作品をシェア

pagetop