彼女のことは俺が守る【完全版】
 ダイニングテーブルの上には篠崎海と私の朝食が準備されている。コンビニで買ったものだというのに、サラダは綺麗にお皿に移されていた。そして、篠崎海はリビングのソファからコーヒーの入ったカップを持ったまま、ダイニングテーブルに着く。それに促されるように私も篠崎海の前に座ったのだった。


 確かにパンとサラダとコーヒーの朝食だけど、昨夜といい、今朝といい篠崎海は細やかな気配りが出来ると思った。会社に行くついでどこかで食べようと思ったんだけど、篠崎海の優しさに甘えることにした。


 それにしても篠崎海はたった二回しか会ってない私なのに自然に話しかけているし、私も恥ずかしいとは思いつつもその優しさに促されるように自然に話している。芸能人のオーラは感じるのに、篠崎海は私の前では気取ることもなく自然過ぎた。まるで従兄弟のお兄さんと話しているような気持ちになる。



「昨日はありがとうございました。今日はアパートに帰ろうと思います」


「里桜は俺のこと嫌い?」


「そんなことないです。昨日からとっても優しくして貰って感謝しています。でも、これ以上は申し訳ないです」


「嫌われてないならよかった」


 篠崎海はそっと立ち上がるとチェストの中から茶色の封筒を取り出すと私の前にそっと置く。見上げると篠崎海は静かに頷くから、これは私に今、見て欲しいということなんだろう。そして、私は目の前に置かれた茶色の封筒から取り出したのは一枚の紙だった。
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