「今から里桜の部屋に入れる家具を買いに行くけど俺の行きつけでいいか?」


 ゲストルームでいいと今でも思っているけど、きっと聞いては貰えないと思うので私は素直に頷いたのだった。
 篠崎海が私を連れてきてくれたのはビルの三フロアを使って営業している有名な家具を扱うインテリアショップで、国内外で品質の良いものだけを取り扱うこの店はナチュラル系からシンプルモダン系、そして、少しゴージャスな姫系まで望めば何でも揃うのではないかというくらいの家具が揃っている。


「里桜の好きなものを選んでいい」


「ありがとうございます」


 店内を篠崎さんと高取さんと一緒に歩いていく。どれもこれも素敵だと思うけど、自分ではやっぱり選べないとも思った。偽装結婚が解除されたら、この家具は篠崎さんの部屋に置いて出ることになると思う。それなら私の趣味だけで選ぶわけにもいかないと思った。


 そんなことを思いながら、店の中を歩いていると、不意にある家具のコーナーが目に入ってきた。シンプルな家具なのに、ラインに優しさが籠っていて無垢の木材がふんだんに使われている。つい、足を止めてしまったのだった。


 可愛いと思った。飾り気はないけど、とっても可愛いと思った。


「これがいいのか?」


 いきなり頭の上から降り注ぐ優しい声に頷くべきかどうか迷ってしまう。篠崎海は顔を緩やかに緩ませるとニッコリと笑ったのだった。


「ならこれにしよう。俺もこの家具は好きだと思う」