彼女のことは俺が守る【完全版】

婚約記念のデート

 プロの手に掛かるとこんなにも変わるのだろうか?そう思ったのはこの部屋に入ってすぐの事だった。雅さんは私をドレッサーの前に座らせると、鏡越しで綺麗なウインクを一つ。


 まずは髪を解き、髪に付いてしまった会社にいる時に結んでいたゴム跡を、ヘヤアイロンを使い、目立たなくしていく。それが終わると髪先をクルクルと巻いていく。友達の結婚式の時に美容室でセットをお願いしたこともあるけど、どこが違うのか分からないけど、雅さんのテクニックは凄かった。


 そんなに難しいことはしてないように笑いながら手を動かしているのに綺麗に纏まっていく。ピンもそんなに使ってないのにとっても綺麗に纏めあがった髪は三つ編みを多用したアップスタイルだった。


 髪を結っている間も雅さんは私がリラックスするように色々な話しをしてくれた。フランスに居た時の話から、今の篠崎海のスタイリストになってからのことも。二人を引き合わせたのは高取さんで高取さんとは雅さんが高校生の時からの知り合いだということも。


 今日初めて会ったのだとは思えないほどの優しい雅さんの雰囲気にホッとする。そして、化粧まで終わらせると私は今日買ったばかりのワンピースに袖を通したのだった。


 淡い水色のワンピースはこの季節にはとっても爽やかだと思う。ノースリーブのワンピースと合わせるように用意されたのはレースで編まれたカーディガンで、足下にはパンプスではなくバレーシューズが用意されてあった。

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