「でも…」


「里桜の気持ちは分かる。でも、今回は俺の言うとおりにして欲しい」


 そこまで言われると私に反対する言葉はなかった。申し訳ないと思う気持ちもあるけど、実際に自分の部屋に戻って、優斗との思い出の残る家具を見たら辛いだけかもしれない。海斗さんが雅さんと一緒に行くようにというのも私を心配してのことだと思う。私はその好意に甘えるべきなのだろう。


「ありがとうございます。仕事が終わったら雅さんに連絡します。あの、雅さんの連絡先を教えて貰えますか?」


「勿論だよ。里桜のメールアドレスを雅さんに教えてもいいかな?」


「はい。私にも教えて貰えると嬉しいです」


「うん。じゃ、雅さんにメールアドレスを教えていいか確認してから里桜にメールするよ」


「はい」


 私が雅さんと一緒に行くということで海斗さんはホッとしたような表情を浮かべたのでこれで良かったのだと思う。俳優としての海斗さんの仕事がどれくらい大変なのかは分からないけど、少しは応援出来ればと思う。


「じゃ、一週間くらい会えないけど元気で。俺もメールするけど、里桜も気が向いたらメールして。待っているから」


「はい。あの、気を付けてください」

「ああ、じゃ、おやすみ」

「おやすみ」