居場所をください。
貴也side
「お疲れ。」
撮影を終えたばかりの俺たちに
長曽我部さんが話しかけてきた。
「なぁ、貴也。
今から美鈴が歌う曲
貴也を想って書いた詞だからな。」
長曽我部さんはそれだけいって
モニターの前に戻った。
ちゃんと見とけ、ってことか?
「貴也くん、着替えよ?」
大橋が話しかけてくるけど…
「…悪い、先いってて。」
俺を想って書いた詞が気になって
俺は撮影を見ることにした。
…なぜか俺の横にはまだ大橋がいるけど。
「五十嵐さん、いくよー!」
しばらくして音楽が流れる。
最後の部分だけか?
「この歌は愛する君のために贈る
心からの愛の歌ー」
……………なんだよ、あいつ。
佐藤さんに近づかれて
ずっと佐藤さんのとなりにいて
高城には抱き締められて
顔赤くして……………
あんなイライラしてたのに
たったあれだけで
頬が緩むじゃん。くそ。