居場所をください。

美鈴side




"それでは皆さんご一緒に

いただきます。"


それさえも懐かしい。

ずっと言ってこなかったのに、習慣かな。


………最近帰ってないな。

たまには帰ろうかな。


「ごちそうさま。」


優輝は大きくなったかな。

元気してるかな。


………大橋かな……いいのかな。

捨てるならどうして産んだんだろう。


「ねぇ、貴也はもう大橋さんと会ってないの?」


「はぁ?会ってねーけど。」


「そっか。」


最近テレビとかでも見ないけど

何してんのかな。


「どうした?急に。」


「んー、最近見ないなーと思って。」


それこそ、貴也との報道でしか

大橋さんは見かけなくなった。

今はそれさえもないから本当に見なくなった。


「まぁ後藤プロは体はんねーと

仕事来ないからなー。」


と長曽我部さんが言う、けど……


「じゃあなんのために貴也と噂になったのかな。

ただの知名度あげ?」


「まぁそれもあるだろうな。

話題になればなるほど単価は上がるし。

そうすれば事務所の利益も上がるしな。」


「"それも"ってなんなの?

他にも理由あるの?」


「まぁ考えられる候補なら

美鈴にダメージ与える、とか。」


「は?え、なんのために?」


「美鈴が相当嫌われてるとか。」


「まぁ…好かれてはないと思うけど。

でもそれは大橋さんの都合で

後藤プロとは関係ないじゃん。」


「まぁそうだけど。

でも後藤プロがやらせてたとも限らないし。

俺らのAプロに喧嘩売ったって

負けるに決まってるしな。」


確かに。


「まぁ、もしあのとき本当に貴也が辞めてたら

本当に貴也は取られてたかもなー。

世間的に、だけど。」


「実際もそうでしょ。

この人、全然会う気なかったし。」


「うるせーよ。」


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