居場所をください。

長曽我部side




***


………なんだ?美鈴のやつ。

なんか…休んでるうちに変わったな…


やけに元気だし…

それに弘希と過ごせとか

前はあんなこと言わなかったのにな。


最近は佐藤とばっかり仕事の話してるし

……まぁ、それが普通なんだろうけど

やっぱりあの日から、俺と美鈴に

見えない壁のようなものができた気がする。


あんなに俺ばっかりだった美鈴なのにな。


『━━もしもし?なに』


とりあえず言われた通り

俺は弘希に電話をかけた。


「あー、遅くに悪いな。

母さんは?仕事?電話繋がんねーんだけど。」


『風呂。』


「あーそう。

弘希さ、年末ってなにしてんの?」


『年末?さぁ。特に予定はねーけど。』


「なら29、30日とどっか行かないか?」


『は?仕事じゃねーの?

30日美鈴ライブだろ。』


「美鈴に30日の18時半まで

来なくて良いって言われたから。

まぁ美鈴なりの優しさなんじゃねーのかなと思って

俺は甘えることにしたんだよ。」


『ふーん、まぁいいけど。

でも母さんの仕事がまだわかんねーし

俺は別に父さんちでも構わないけど。

時間制限があるなら近い方がいいだろ。』


「え、いいのかよ。」


『年明けたらすぐ旅行行くじゃん。

だから母さんはそれだけでも

十分だと思うけどな。』


「…わかった。」


『じゃあ母さんには俺から言っとくわ。

……ってかさ、美鈴のライブって

チケットとりにくかったりすんの?』


「え、美鈴の?弘希が行くわけ?」


『いや、母さん。』


え、里美?…なんで?



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